とりあえず1000冊読んでみる

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491冊目:八日目の蝉

角田光代

 

不倫相手の家で赤ん坊を見て忘れるはずが衝動的に赤ん坊を連れ去り、4年間逃げながら育てていく物語。小豆島のフェリー乗り場で捕まるときに、「待って、その子はまだ朝ご飯を食べてないの?」という映画のセリフをうっすらと覚えていた。

捕まった後の後半は、赤ん坊が大学生になって、自身も同じように不倫をし、赤ん坊の時の4年間の記憶を取り戻していく。両親のもとに帰って以降、不倫をしていた父、感情を抑えられない母の間で、連れ去った女を憎むことで家族として何とか成り立っていたこと、その女といた時の幸福な気持ちを思い出していく。

蝉は地上に出て7日間で死んでいく。8日間生きた蝉は誰もいなくなってさみしいのか?自分だけなぜ生き残ったのか?

赤ん坊の時に起こったことと八日目の蝉が結びづけられ、それぞれが自分だけに起こった不幸なこととして考えてきたんだろうが、女と同じように不倫相手との子供を身ごもって、女と過ごした地域を訪れるうちに、特別だったが幸せだったことに気づく。そして家族とその子供と一緒にやり直そうと決意し物語が閉じる。