429冊目:遺体
震災、津波の果てに
石井光太著
今年で東日本大震災から11年になる。3/11にVoicyで伊藤羊一さんからこの本を読むことで震災の状況がわかると聞いて、早速読んだ。
釜石は津波の被害でたくさんの人が亡くなった。その遺体安置所となった体育間で仕事をする人、家族を探しに来る遺族の様子がドキュメンタリーで紹介されている。
まずは遺体安置所を取り仕切る、過去に葬儀社で働いていた民生委員。死亡診断書を書くために遺体の検証にあたる医師。身元が分からなかった時のために歯型を確認する歯科医師。遺体を運んでくる市役所職員。お経をあげる和尚。遺体を近隣の焼き場に運ぶ消防団。指揮をする市長。それぞれがそれぞれの立場で主体的に動き、遺体への尊厳を保ちながら、それぞれも大変な中、プライベートは置いておいて黙々と取り組む姿勢は日本人の姿。
この本を読んで、今から感傷にふける必要はないが、こんなことがあったんだと胸に刻んでおくべき事実。